EC運営の悩み: ”神経を使う”細やかな業務が多い
岡本: 今日はお時間いただきまして、ありがとうございます。今回はEC事業者さんの悩みとネクストエンジンが何を解決しているかに迫りたいと思っています。
ECで買い物をする人って多いと思うんですが、売り手としてのイメージを持っている方はほとんどいないと思うんですよ。そのあたりのお客様のリアルと、ぶっちゃけネクストエンジンってどう役に立っているんですか?あたりを聞かせていただければと思っています。よろしくお願いします。
日橋 正義(にっぱし まさよし)さん
- 2008年、Hamee入社。卸販売部門で東京営業所の立ち上げ等を行った後、2014年よりネクストエンジン事業へ配置転換。
- 現在は、分社化後のNE株式会社で執行役員CPO(Chief Partnership Officer)として全事業のセールス領域を統括。
日橋: はい、よろしくお願いします!
まず、お客様向けの資料で何から話すことが多いか、から話させてもらいますね。
私はセールスの責任者でもあるので、商談のシーンでお客様にお会いすることが多いんですけど、最初にお会いする際に「ネクストエンジンってどう使うの?」みたいな話になって、まぁ、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの3モールの話から入ることが多いですね。
楽天市場だと楽天ポイントがあって楽天経済圏がある、Yahoo!ショッピングだとPayPayポイントがあるみたいな感じで、国内のカバー率でいうとやっぱりこの3店舗が多いので、多くのお客さんは3モールの話から入ります。
EC事業者さんとしては、やはり売上を上げていきたい。そうするとユーザー数が多いモールに店舗を複数構えることは大事になってくるので、ほとんど必須でこの3モールはやっている事業者さんは多いという感覚になりますね。
岡本: なるほど。
日橋: そしてお客様によって楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングのモールをどれくらい力を入れて運営しているかによるんですが、すべてのモールを全力で運営している場合、けっこう大変なんですよね。セールとかのときには注文が多すぎて、バタバタしっぱなしみたいな大変さもあれば、さらにセールが重なったりすると、複数モールの注文をずっと監視したりしないといけないみたいなのもあって。
岡本: それはもう、ちょっと聞くだけで大変そうですね。
日橋: そうですね。特にEC事業の運営って神経を使うところが多いんですよ。例えば「売り越しを防ごう」みたいなものが代表的ですね。
岡本: “売り越し”ですか?
日橋: 例えば、在庫が残り5個しかないのに、8個の注文が入ってしまうみたいな状況です。在庫を超過する注文が入ってしまうことを指すんですが、お客様にすぐ届けられない可能性が出てくるので返金対応や個別連絡などの対応をしなければいけないし、**場合によってはクレームにもなります。**ちょっとコントロールをミスするだけで、大変なことになるんですよね。
岡本: あー・・・なんかちょっと聞いただけでも、胃が痛くなる話ですね。。。
日橋: はい、そうですね。他にはメール対応が多いところとかも大変だったりしますね。メールって面識がない方に送る場合、やっぱり気を使うじゃないですか。誤字がないか、ミスがないかとか。もちろんお客様のオペレーションルールによるところはあるんですが、件数があると大変な業務になってたりするんですよね。
もちろん、お客様側でミスが起きないようにルールをしっかり作ってみんなで頑張っていらっしゃったりするんですが、やっぱり大変なものは大変というところがあって。そこをどう解決していくか、というご相談に乗らせていただいているという感じですね。
岡本: なるほど。単に業務が煩雑とか多いとかだけではなく、神経を使った細やかな業務も結構あるよ、みたいなイメージなんですね。
“オリジナルルール”が首を締める?
日橋: ちなみに岡本さん、EC運営の自動化を進めていこうとするときに壁になるものって何かわかりますか?
岡本: え、、、なんでしょうか?
日橋: それは”オリジナルルール”なんです。
岡本: 独自のルールってことであっていますか?(笑)
日橋: はい、そうです(笑) EC事業って自社販売をスタートしてから徐々にモールへの出店を増やしていくものなんですよね。で、1つ目のモールをはじめたときに、モール対応のルールやマニュアルができてくるんです。これが自社独自のオリジナルルールになるんですが、このルールの作り方に問題があることが多いんです。
岡本: なるほど。作り方に問題があるっていうのは具体的にはどういうことなんですか?
日橋: まず「最初のモールの仕様に密着したルールが作られがち」だということですね。
モールって裏側の仕様って似ているようで全然違う部分もあって。なので、最初にはじめたモールの仕様をみてルールを作ったものが他のモールに適用できるとは限らないんです。
岡本: たしかに!
日橋: でルールがうまく適用できない場合、共通のルールに作り直そうという方向にいくのではなく、モールごとの個別ルールにしていこうみたいな話になりがちで、さらにモールごとの個別ルールが増えていくんですね。これがまず大変なところですね。
岡本: なんか無限にルールが増殖しそうですね・・・。
日橋: そうですね。で、次が「属人的な想いがルールやマニュアルに乗りやすい」というところです。ECの場合、注文を受けてから発送をする業務の合間に、お客様とのやり取りが発生することもあり、ちょっとした「接客」要素もあるんです。そのため、おもてなしのためのルールが乗っかることがあります。
本当に「ちょっと」だったらいんですが、注文件数が増える、そしてモールが増えるとしていくうちに、大変な負荷になっていたということあります。このあたりのオリジナルルールをどう解きほぐしていくかが大事になったりするんです。
岡本: たしかに冷静に考えると、最初のモールで作ったルールのまま、注文が増えてモールが増えた状況に対応するって効率が悪い部分は増えてしまいそうですね。ただ変えるきっかけとかもなかなかないので、そのままになってしまうというイメージもすごいよくわかりますね。
自動化って”怖い”って話になりませんか?
岡本: 一方で、これ素人目線の質問かもしれないんですが、「自動化って怖い」って話になりませんか?
お客様から注文を受けて発送するまでに何かミスや手違いがあったらまずいじゃないですか。いきなりシステムで自動化って怖いって感じる人が多いんじゃないかなと思うんですが。
日橋: おっしゃるとおりですね。怖いと想います。お客様と会話していてやはり怖いよねって話にあるものっていくつかあるんですが、売り越し・配送遅延や誤配送とかがやはり怖いって話にはなりますね。ただ、怖いんだけど、人がやっている以上、逆にミスも起きる可能性もあるから、怖いんだけどできるだけシステムに任せていきたいという思いがあるというところが正確なところですね。
岡本: なるほど。ちなみにお客様によってニーズの強さが変わるかなと思うんですが、逆に自動化したくないみたいなお客様もいらっしゃるんですか?
日橋: 自動化したくないというよりも、扱っている商材の性質として自動化できる範囲に限界があるケースはありますね。
例えば、食品とかで賞味期限が短い商品を扱っている場合、できるだけ早く自動で出荷したほうが買ってくれたお客様にとってのメリットって大きいですよね。そういったケースは自動化を頑張ろうって話になりやすいです。他はアパレルとかで扱う商材の種類とか量が多い場合とかも、お客様がセレクトして注文したものを自動的に出荷まで持っていくということをできるようにしよう、となっていたりはします。
ただ、ユニフォームやプリントTシャツのようにオーダーメイドの商品を扱っているケースとか商品の到着日をちゃんと調整しないといけないように冷蔵庫などの大物家電とかの場合はどうしても自動出荷はできないですよね。注文の詳細を聞くプロセスが入ったり、到着日の調整を電話でする必要があったり。そういった場合は、自動化といっても出荷の自動化まではいかずに、在庫の連携や注文の一元化がきっちりできるところまでで大丈夫という話になります。
岡本: なるほど、たしかに商材によって差は出そうですね。
日橋: なのでお客様の商材にあわせて、どこの自動化をまず頑張るのかという点は最初に整理することが多いですね。
岡本: 自動化を進めるにあたってのベストプラクティスとかコツとかってあるんですか?
日橋: ベストプラクティスってほどじゃないんですが、何よりもまずオリジナルルールを解きほぐしていくことは大事ですね。
岡本: やはりそこに行き当たりますか。
日橋: はい。自動化は前提として、オペレーションの標準化や均質化をすることが大事になるので、独自のルールがあればあるほど自動化は難しくなります。なのでまずはオリジナルルールを解きほぐして、システムに任せることを決める、やらないことを決めるという整理をさせていただくことは多いですね。そして次にシステムに任せていく、勇気をもらってもらうことですね(笑)
岡本: 整理と勇気が大事なんですね(笑)
日橋: そうですね。ネクストエンジンでできることの例として、1つにモールから連携されるコメントの中から不要な情報を削除して、お客様のコメントだけ抽出して、出荷担当が確認でできるようにする、みたいなことができるんですね。
岡本: 便利ですよね。
日橋: そうですね。不要な情報を確認するために1スクロールとかしていたりする時間が減ったほうがよかったりするので便利なはずなんですが、システムが正しく動いているか不安だから、いったん不要な情報は削除しないみたいなことは、たまにあったりします。
システムが自動的に処理してくれるところって目には見えないのでなんとなく「怖い」という気持ちはわかるんですが、せっかくシステムを導入しているんだからちょっともったいないかなぁ・・という気持ちになるときはあります。
自動化で捻出した時間 = 売上をあげるための時間 として使える
岡本: 難しいところですね〜・・・。
そういったケースってネクストエンジンを入れてもそれほどEC運営の自動化が進まずに停滞してしまうという結果になるんですか?
日橋: いえ、一瞬そういう話が持ち上がったとしても、結局はやらなくなってもっと自動化していこうという方向に進むことが多いです。
岡本: え、なんでそうなるんですか?
日橋: そういった小さいオペレーションに時間って積み上がると結構な時間になるんです。で、その時間があれば、別のモールに1店舗さらに出店できるんじゃないですか、という話になる。当然、売上が伸びることが大事なので、そういったちょっと気になる小さいオペレーションはシステムに任せることを割り切ってやってもらうということになりますね。
岡本: 売上をあげるための時間にしていきましょう、という話になるんですね。
日橋: そうですね。実際、我々もシステムによってEC運営のバックヤードの自動化や効率化を進めることで、売上につながるフロントのクリエイティブな時間を捻出してほしいという想いがあるので、そういったお話をさせていただいています。
実体験としても売上をあげるための活動に加わるようになった方のお話を聞くこともあるんですが、嬉しかったのは、バックヤードの仕事って売上に連動していないので、評価されにくい感覚だったらしいんですが、フロントの仕事になって成果が形としてあらわれるようになって褒められたとか。そういったお客様が出てくれるのはとても嬉しいですね。
実際、楽天市場とかで受賞されているお客様とかも出ていたりするんですが、ネクストエンジンのおかげだよって言ってくれたりすると嬉しいなぁって思いますね。
岡本: なるほど、いい話ですね〜。ありがとうございます。